音楽療法とカラオケ

音楽を聴いていて、知らない間に足でリズムをとり、手で膝を叩いている人がいます。 「りんごのうた」や「青い山脈」を歌っていると、もうなん十年も前の歌なのに歌詞はすらすら。 そして普段、無表情な人にも音楽を通して笑顔が浮かびます。 これは、ある施設での音楽療法の風景です。

カラオケは「音楽の媒体」

カラオケで歌う時には何人かの人が集まります。 音楽を媒体とした、言葉を超えたコミュニケーションだからです。 そこで、歌について隣に座った人との会話が始まります。 それは、毎日の生活で話すことがほとんどなかったお年寄りの記憶を呼び覚まし、「言葉」を活性化させ、想い出を語りあうきっかけとなるからです。 歌う時には、大きく口を開けて活発な呼吸で声を出し、歌います。 多くの酸素を吸収する「呼吸の活性化」ですね! 

 
音楽療法って!
◆カラオケのすばらしさ
カラオケと「思考や運動の活性化」
カラオケの音楽は、伴奏として一定のテンポで進んでいきます。そのテンポに乗って、集中して歌詞を歌うわけです。 集中力の持続と、流れる音楽に乗ることが求められます。 それはリズムとテンポを通した「思考や運動の活性化」につながります。 歌のフレーズを「歌いきりたい気持ち」が自然と生まれます。 それは積極性を引き出し、大脳の働きを高めることになります。

カラオケは音楽療法のひとつの方法となります。

武庫川女子大学 音楽学部教授 益子務

 

 

ジョイントワンの田中です。音楽療法は最近になって出来たものではありません。欧米では精神疾患や痴呆の治療法として古くから採用されており、カナダ・イギリス・アメリカの先進国に比べて日本は50年遅れているそうです。
日本の音楽療法士さんは、例えば4年間制の大学で専門の勉強と数百時間の現場でのトレーニングを積んで厳しい試験に合格した方などであり、とても奥の深いもののようです。
私は音楽療法は楽器の生演奏で行うものと思っておりましたが、益子教授の教えをいただき、カラオケでも、専門の知識を持った音楽療法士さんの指導のもとで使用することで非常に有効な治療具になるとわかりました。


カラオケと「達成感」

カラオケは年齢に関わりなく「言葉」を超えた「音楽の力」で人々を結び合わせます。 大勢の若者が同じリズムで踊ると「音楽の仲間」となります。

音楽には和音の流れがあり、歌の終わりには「曲が終わった」という感じの和音があります。 歌い終わるとなにかを達成したような 満足感 を味わいます。 この、「和音の終止感」が達成感を味わう上で重要なのです。